労働基準監督署が立ち入り調査をすることを「臨検」といいます。この臨検にはいくつかの種類があります。
01.定期監督
年度ごとに重点業種や重点項目を定めて行う調査です。労働基準法、労働安全衛生法が遵守されているかどうかを広範囲にわたって調査されます。
定期監督があったからといって必ずしも法違反を疑われているわけではありません。しっかりと労働法令を守っていれば問題なく終わります。
仮に会社に法的な違反があっても、急場しのぎで隠蔽するような行為は絶対に行わないようにしましょう。隠蔽が発覚した場合、その悪質性により最悪の事態(逮捕・送検)を引き起こしかねません。
ちなみに定期監督には、労働基準監督署の監督官が個々の会社に訪れる立ち入り調査と、使用者に資料を持って出頭させる呼び出し調査の2つがあります。
02.申告監督
申告監督は労働者の申告を受けて調査を行います。定期監督と違い、労働者の申告に基づいて行われるため調査は厳しくなります。未払い残業代問題などはこの申告監督によるケースが多いといわれています。
未払い残業代の時効は2年となっています。これは、在職者のみならず退職者であっても請求が可能であるということです。会社を去る者にも、納得できる説明を尽くしてトラブルなく退職してもらう心掛けが普段から大切であるといえます。
03.災害時監督
災害が起こった場合に、その原因究明と再発防止のために行います。発生した労働災害について細かく調べられます。
04.再監督
一度、是正勧告を行った会社に、ふたたび訪れて調査や是正箇所の確認をする調査のことをいいます。
おもに「労働基準法」「労働安全衛生法」に違反している会社に出される行政からの勧告です。
是正勧告とは、労働基準監督署が調査を行い、その結果、「労働基準法」「労働安全衛生法」に定められた基準に違反する会社に出される勧告です。
よく指摘される事項として、就業規則の作成義務違反や時間外労働を行わせることについて労使協定(36協定)を締結・届出していないことなどがありますが、最近は「未払い残業代」の問題について勧告をうけることが多くなりましたが、ほかにも健康診断の義務違反、製造業であれば機械類の未検査等の安全衛生法違反など、さまざまな場合について是正勧告が出されています。
- 時間外労働、休日労働、深夜労働に対する割増賃金の支払い
- 就業規則の記載内容
- 労働条件通知書の交付
- 時間外・休日労働協定書(36協定)の届出の有無
- 労働者名簿の作成
- 労働時間の適正な把握(タイムカード・出勤簿など)
- 賃金台帳の労働時間数等の記載状況
- 健康診断の実施
労働基準監督官は、特別司法警察員としての職務を行うことが定められています。これは、悪質な違反に対しては、犯罪の捜査、書類送検、逮捕などにあたることが認められていることを意味します。是正勧告そのものには法的拘束力はありませんが、そのことと法違反を放置することは無関係です。勧告内容を無視したり、虚偽の報告をすると、違法状態が続くわけですから、逮捕、送検という想定外の事態になってしまう恐れがあるのです。
経営者の方から、「労働基準法なんて守ってたら会社は潰れるよ!」という類の話を伺うことがあります。確かに、長年、サービス残業などの違法状態が常態化している中小企業にとって、遡っての支払いは経営を揺るがす事態と言って過言でないと思います。さらに、勧告への対応は多大なる時間・労力の負担となり、本来の業務にも支障をきたしかねません。是正勧告それ自体のみならず、是正報告に向けた対応と合わせた二重の負担となるのです。
しかしながら、是正勧告を受けた以上、真摯に対応しなければならないことは明白です。そのような場合、合法的・合理的な解決法をさぐっていくことになります。
当事務所では、経験豊富な社会保険労務士・第1種衛生管理者の有資格者が、もっともベターと思われる解決策をご提案し、是正報告書の作成までを行うことはもちろん、この是正勧告をきっかけとして、トラブルを起こさない労務管理に再構築するためのコンサルティングを行い、将来に向かって安心できる制度設計を行います。新制度設計が行われた場合、従業員への説明会への同席や運用指導も行っております。
パートやアルバイトであっても勤務日数と勤務時間の多い人は社会保険に加入しなくてはなりません。そういった人の加入もれがないかどうかを確認されます。方法としては、
賃金台帳、出勤簿(タイムカード)を調べて、勤務の多い人がいないかどうか。
源泉税納付書に書いてある「給与を支払った人の人数」と賃金台帳上の人数が一致しているか。給与の総額も一致しているか。
などにより調べられます。源泉税納付書の金額と賃金台帳の合計額が一致していないと「加入義務のある人の賃金台帳を隠しているのでは?」と疑われかねません。
加入義務の基準は
社会保険に加入義務があるのは、「1日の勤務時間と1ヶ月の勤務日数がともに、正社員のおおむね4分の3以上ある人」です。
なお2ヶ月以内の期間に限って雇う場合などは、加入の対象とはなりません。
社会保険は、試用期間がある場合でも採用したその日から加入させなければなりません。
試用期間が終わってからの加入、という取扱いをしている場合は注意が必要です。
社会保険料は、入社時に予定されている給与額に基いて決定されますが、その際の見込額が正しく届けられているかどうかについて調べられます。
もし実際の給与額と大きくかけ離れている場合は、入社時にさかのぼって、訂正を求められます。
特に、残業手当の見込み違いや通勤手当の算入漏れなどが注意すべきポイントとなります。
社会保険料は、給料が大きく変動したときも改定になります。これを月額変更または随時改定といいますが、この届がもれていないかについてもチェックされます。
基本給や家族手当、資格手当など、毎月定額の部分の給与が変更になり、変更月から3ヶ月の平均が従前の等級と2等級以上変わるときなどは注意が必要です。
当事務所では、社会保険(年金事務所)調査対応として、算定基礎届・月額変更届等必要書類の作成及び調査立会・代行を行っております。また、調査の際に問題となった点があればその是正をお手伝いし、さらに必要に応じて、新しい賃金制度の設計やパート・アルバイトさんの労働時間管理についてのご提案など、将来に向けて安心できる労務管理をサポート致します。
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労働基準監督署 是正勧告・調査対応 |
42,000円~ | 31,500円~ |
是正勧告が行われた場合の是正報告書作成、及びそれに付随する 是正事項対応を行います。 |
社会保険事務所 調査対応 |
31,500円~ | 21,000円~ | 社会保険調査対応とそれに伴う算定基礎届、月額変更届等の作成を行います。 |